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農家パン 弥栄窯 [agréable]

「農家パン」の前置きがなければ陶工房と思われそうだけど
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この薪窯があるからこその「弥栄窯」であり、ここで全てのパンが焼き上げられます
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その生地はミキサーを使わず、手前にある木製の船で全てが手ごね
更に石臼で自家製粉(まだ全ての粉ではありませんが)された確かな出生の小麦とライ麦
そして「農家パン」ですから、いずれは自家畑と近隣農家さんの麦を使っていきたい、と
日本のパン屋での経験を全く持たず、欧州各地を巡って学んだパンを焼く若者が居るとは

とにかく、行くしかない

京都府北部、丹後半島の山の中にある京丹後市弥栄(やさか)町へと
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名古屋から名神米原~北陸道敦賀~若狭舞鶴道綾部~京都縦貫道と3時間
丹後半島東端側までは高速が整備されているので一般道を走るのは最後の1時間ほど
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渋滞が無くても合計約4時間の道程です。ええ、思いっきり山の中の小さな小さな集落です。
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目の前の道路はこんな感じ。脇に転回できるスペースがありますがすれ違える幅はありません。
こちらでの販売は予約が必要で、通常は木曜~日曜は曜日別に丹後エリア各所で販売されています。

予め伺っていたタイムテーブル通りにパンたちが窯から焼き上げられていきます
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工房脇の窓の外側から中を眺めると、整列したパン越しに薪窯のレンガ壁が見えます
ああ、イイ香り・・・パン好きには堪えられない素敵な光景が目の前に!

窯を外側から見るとこんな感じ。投入口のある作業場が建物端物置スペースで
外壁を取り払い窯を設えたそうです。
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窯の外側のから壁に触れると冬だったら張り付きたい温度。手前にはたくさんの薪が詰まれています。
こちらの御宅は明治後期に建てられたそうで
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入り口から見上げると黒々とした立派な柱と梁
居住エリアはまだ少しずつ手を加えつつ、とにかく全てがパン第一のお二人の暮らし
この御宅の中で唯一空調があるのは、大切な粉と石臼が鎮座する製粉室なのですって
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ブロン、カンパーニュ、セーグル、コンプレを焼成したところで窯の温度を落とし
最後にブリオッシュ ベイサンヌが窯に入ります

「暑いでしょう~」ちえさんが韓国の五味子茶を御馳走してくださいました。
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美しい色合いです、ほんのり甘味を加えてあり美味しくて体にイイ感じ
こうきさんには必須の水分と栄養補給のお茶なのでしょう

「この壁の麦の穂はどなたが?」
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「落書きみたいなもんですよ~」
サラサラっとこんな風に出来ちゃうなんて凄いなぁ
素敵なメニュー表のパンのイラストも、こうきさん作なのかなぁ

これが農家のブリオッシュ、工房に満たされた甘い香りで悩殺されそうだ~
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他のパンたちは棚にドミノ倒しのように整列していますが
やわらかなブリオッシュたちは一つずつ冷まされて出番を待ちます。

弥栄窯さんのパンはこの5種類、いずれも粉の味を愉しむものばかりです
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本当はこんな時間帯にナイフを入れるのはダメなのでしょうけれど、我慢ももう限界だよね
一番最初に焼きあがっていた
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小麦のパン Pain Blanc(ブロン)北海道産小麦と自家製発酵母、丹後産の塩だけ
粉の味を素直に楽しめる、そのまんまでも美味しい~

田舎パン Miche de Campagne(カンパーニュ)
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迫力の大きさです!グルメではなく日々のパンとして、と仰るだけあって
何とでも合わせられるパンです。
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うひひ、塗りモノを色々と準備してきちゃったんです!愛知県産のバター
浜松産のピーナッツバター、キュルティヴァトゥールさんのミルクジャムなどなど
いつものスナックナイフでは太刀打ちできないだろうと杉窪×貝印のアレで
しかーし!
正面から刃を受けてくれない・・・どんなパンでも切欠を掴んで入っていくはずの刃なのに??
結局サイドから入刃してスライス(しかし翌日以降は全くいつも通りにサクサクでしたが)
全てのパンがそんな状態でした。荒熱が取れたと思って落ち着く前にナイフは乱暴だったのかな。

全粒粉パン Pain Complet Bio ”CHO-ICHI"(コンプレ・ビオ<長一>)
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栃木県で無農薬小麦を栽培されている上野長一さんの小麦を余すことなく味わえる
荒挽き自家製粉の高加水、唯一の四角い型に入れて焼成。
ムッチムチです。バターがあったらもうエンドレス!

ライ麦パン Pain de Seigle Bio (セーグル)
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ライ麦70%のどっしり感、香りも旨味の素晴らしい~
サンドイッチに強力な選手です。鶏とマッシュルームのパテも持ってきて良かった!
地元の農家さんにもお昼に召し上がっても腹持ちが良い、と評判なのだとか。

あああ、押しかけるだけでもご迷惑なのに
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ちえさんのお料理のご相伴まで!地元の新鮮なナスにたっぷりのトマトソース
パンにぴったりの夏の御馳走を遠慮なく頂戴してしまいました♪

農家のブリオッシュ Brioghe Paysanne(ブリオッシュ ペイザンヌ)
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太田ご夫妻にとっての原点のパンというノルマンディにあるオーガニックファームのセルジュさんが
お爺ちゃんの代から薪窯で焼かれていたという直焼きのブリオッシュを想い焼いているのだそう
「これがブリオッシュ?」
下手きさ写真を見たらそう思うでしょう
しかし
焼きたての香りがもう完全にブリオッシュだったのです!
地元のミルク工房そらさんのジャージー牛乳と洗双糖、発酵バター
卵は入らないので黄金色ではありませんが口解けは滑らか。
本当は2本買って1本その日のうちに食べてしまいたい!
そう思っていたけれど、製造できる数には限りがあります。
すでにこのパンのファンは地元にたくさんいらっしゃいますからね。

この日も午後から大宮町のこだわりの品揃えのスーパーでの販売があり
お忙しい中お邪魔してしまいましたが、非常に貴重な楽しい時間でした。

いつか丹後の麦を使ったパンが出来る日が来るように
丹後のお客様に末永く日々愛されるパンで在り続けますように
お二人の素敵な笑顔に見送られながら、シアワセな香りを満載して山を降りたのでした!

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